四季おりおりの姿

      

木曽谷の春(運材列車)

ポスター(2009年)

第5回の軽便鉄道模型祭公式ポスターは木曽森林鉄道の2枚。前回取り上げたウグイ川線の運材列車と、大型の10トン機が牽く本線の運材列車(右)でした。 木曽川沿いにある桟(かけはし)の停車場から少し上流で3月に撮影されたものです。
 上松を出た線路は、木曽川を大きなトラス橋で渡り、対岸の中央西線と並行して上流に向かっていきます。途中、池島で分岐して入っていく製材所を見たり、 桟のヤードを眺めたりしながら歩いていくと、緩やかなカーブの向こうに割と長い鉄橋と線路が見渡せる箇所がありました。
 冬ダイヤの「みやま」号が滝越に向け登っていき、しばらくすると丸太を積んだ長い編成が下ってきました。下の画像では最後尾が見えていませんが、20車という王滝本線では最長の編成。 全体を収めた写真が『改訂新版 木曽谷の森林鉄道』(西裕之・著 ネコ・パブリッシング)に掲載されています。 鉄橋を渡った列車は、大きくカーブして撮影者の居る地点に向かってきます。
 ポスターでは、正面からとらえた一枚を機関車が目立つようにトリミングして使っていますが、元画像は昨年秋に出た『軽便讃歌10』61ページにありますので、 関心のある方はぜひ見比べてみてください。

和合沢
 2枚とも1974年3月 王滝本線 桟~沼間の和合沢橋梁付近 撮影=須々木裕太

上の写真は穏やかな春の景色に見えますが、振り返って通り過ぎる列車を撮った下の写真は、まだ冬の最中のような印象があります。 木曽川の谷は狭いので、陽当たりの良い斜面と、日陰の斜面では同じ時にこれだけの違いが生じるわけです。

本線の運材2)
 列車の彼方にあるのが桟貯木場の建物。岩の左には原木の山が見えている 撮影=須々木裕太

ヒノキの丸太に積もっている雪を見ると、貨車に積み込まれてから列車が出発するまでの間に、かなりの雪が降ったのでしょう。 王滝本線は、この少し上流で木曽川から分かれた王滝川を40㎞ほど遡り、伐採地へはさらに支流へ分け入っていくところもあります。 狭い谷間の日陰の斜面では雪が融けず、そのうえ3月末でも時おり激しい雪が降ることがあります。
 里では春の訪れが感じられるこの時期でも、奥地では除雪作業が行われています。その様子は ここや、 『助六』106-107ページをご覧ください。

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