四季おりおりの姿

   

軽便鉄道冬景色(木曽の除雪列車)


 王滝森林鉄道ウグイ川線 小俣~黒淵 1974年3月 撮影=福井康文

 森林鉄道には、本格的なロータリー車を持っていたところがあります。木曽の王滝森林鉄道は、本線だけで延長が50km近くもあり、いくつかの支線もあるので、人力や小さなラッセル車だけでは効率の良い作業が出来ません。そのため、1950年代の後半に、酒井工作所が除雪用として開発した「S型」機関車を導入しました。
 この車輌は、除雪時にはロータリーユニットを運転室側に付けて後ろ向きで使い、外すと普通の機関車として使えるように設計されていました。
 ちょっとずんぐりしたデザインで、ふだんは大鹿ヤードで入換えにときおり使われるだけの目立たない存在なのですが、除雪シーズンになると大活躍。毎日、10トン機関車に推されて朝から出動です。

 ウグイ川線は、12月から3月までの積雪期には全線の運行をやめ、営林署の職員はみな山を下りてしまいます。積雪量はそれほど多くないのですが、大鹿から黒淵を経てウグイ川を渡るまで約7kmの大半が日の当たらない谷間で、ところによっては根雪になって凍りついています。そのため、強力な10トンの機関車2輌で推進しても、突破に苦労することがありました。

 ロータリーユニットを付けた120号は2輌の10トン機(C4)によって推進されている。ウグイ川線 黒淵付近 1974年3月 撮影=かねた一郎

 3ヵ月間列車の走っていない線路は、凍りついて脱線しやすくなっています。それをスコップで砕くために、写真のように人が列車の前で作業をしなければなりません。除雪車があっても最後は人海戦術に頼らざるを得ないのが、冬に運行を中止する区間の特徴でした。
 そして、この除雪作業が終わると、木曽谷に春がやってくるのです。

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