車輌の面白さ
100歳を超すダージリンの機関車 その3
ダージリン鉄道のBクラスは、英シャープ・スチュアートとその後継社であるノース・ブリティッシュ製がほとんどですが、"Steam Locomotives in India"という本によれば、 米ボールドウィン社製のもの(792-794)と現地チンダリア工場製のもの(795-797)が各3輌あるとされています。
ボールドウィンは1917年製造。第一次世界大戦中で英国から機関車を買うことができなかったため、米国企業に発注したものと思われます。
該当する3輌のうち、けむりプロの訪問時には2輌を撮影していますが、どちらにも製造者を示す銘板は付いていませんでした。
ダージリン鉄道のチンダリア工場によるものは1919・1923・1925年の製造だそうで、これらには円形の銘板が付いていました。
右写真のように、これまで紹介してきた英国製と形態的には差がありません。
実は、細かく見るとBクラスの中にはサドルタンクのカーブが微妙に異なるものがあるのですが、コールバンカーの増設部とライトの形状を除き
サイドビューは全く同じに見えます。
かつて日本が英米双方から購入した機関車が、同じ仕様で発注したにもかかわらずデザインに各々の個性が出ているのと比べて、
これらBクラスの形態がそろっているのは少々意外な気がします。もしかすると現地での度重なる改造の結果、形態差がなくなっていったのかもしれません。
Aクラス、Bクラスの原型と改造後の姿は、南軽出版局の『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』に
イラストと解説がありますので、関心をお持ちの方は是非ご覧ください。
また、AクラスやCクラス、ガーラットの現役時など珍しい写真が、英 Darjeeling Himalayan Railway Society によって
"Google Arts & Culture" で公開されています。