四季おりおりの姿

      

雪の大舘を発つ蒸機牽引列車

雪の便りが届く季節になりました。今回は、『軽便鉄道雪景色』に収録できなかった雪のシーンを紹介しましょう。

小坂鉄道大舘駅 1960年 4枚とも 撮影=細井扇郎

今まさに出発しようとしているのは、蒸気機関車の牽く小坂鉄道の混合列車。奥羽本線の大舘から、小坂鉱山に向かうナローゲージ(期間762mm)の路線でした。雨宮製の蒸機の後ろには長物車、鉱石運搬車が続き、 左にはディーゼル機関車牽引の花岡線(軌間1067mm)列車が見えています。
 構内には雪は積もっていないようなので、発車間際になって急に雪が降り出したのかもしれません。背景の家並みや山影も見えているので、それほど激しい雪ではないと思いますが、 吹き付ける雪、それを避けるようにややうつむき加減に歩く人、彼方でドレーンを切って発車する汽車。臨場感あふれる光景です。
 続くカットが右の3枚(実は2枚目と3枚目の間にもう1枚あり、それは以前に紹介しているので抜いてあるのですが)。 撮影者は数歩前に進み、右のタンク車の陰で雪を避けるようにしてシャッターを切ったのでしょう。 鉱石運搬車の後ろに続くのはタンク車2輌、無蓋車1輌、客車3輌、そして最後尾には荷物合造車ホニが繋がれています。
 煙を残して長い列車が出ていくと、左に2本の線路があり、その遠い方の線路が花岡線のホームであることがわかります。 (大舘駅の構内配線に関心のある方は、以前に取り上げた全体のおおよその図と、 機関庫や4線区間の図をご覧ください。)
 雪のせいかピントが甘く、ネガも傷んでいるのですが、こうやって並べてみると、なんだか古い映画の1シーンを思わせるような印象的な光景だと思いませんか。

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