編成や運行のおもしろさ
小坂鉄道の長い混合列車
1960年代に入ると、ナローの蒸機は、いくつかの鉄道で除雪用あるいは予備機として残されたものだけになります。蒸気機関車が日常的に走っていたところといえば、木曽の森林鉄道を除くと、小坂鉄道が最後でした。2フィート6インチのこの鉄道は、小坂鉱山の銅や亜鉛を運び出すため明治の末に建設されたものですが、途中の小雪沢から終点小坂までは昭和になって電化されたのに、大館~小雪沢間は非電化のまま残されていたため、蒸気機関車が使われていたのです。
小坂鉄道には、整った形をした木造の客車や荷物車があり、さまざまなタイプの貨車とそれらが連なった混合列車が雨宮の蒸機に牽かれていく姿に、すでに他所では失われてしまった<蒸気軽便の魅力>を垣間見ることができました。上や下の写真では、長い貨車の列の後ろに、木造のボギー客車2両がつながれています。最後尾は荷物車です。
この編成の長さ、実に堂々としていますね。最後まで残った井笠や頸城、尾小屋などでは、貨物も減り乗客も少なくなって、ときには1両だけ、3~4両の編成で走っていれば長
い方、という状態になっていました。けれども、廃止される10数年前、まだ運ぶ貨物やお客がたくさんあった時代には、どこの軽便鉄道でもある程度長い編成が当たり前だったのです。