ペルス鉄道について
100年前、ブラジルで1つの鉄道が開業しました。延長20数キロという規模ながら20数両の蒸気機関車を有し、1980年代まで長大な列車を走らせていたペルス鉄道(EFPP)です。南軽出版局は、開業100年にあたる2014年夏、2フィート蒸気鉄道シリーズ第3弾「ペルス鉄道1971」を制作しました。
ペルス鉄道をめぐるエピソード その4
けむりプロのU2氏が初めてEFPPを訪れた1971年春には、アルコの3号に火が入っており、1号はガト・プレートで修理中、廃車体としか思えない2号はガト・プレートの側線に、4と5はカジャマールの庫の脇に置かれていました。
翌年S2氏が訪問すると、1号が動いており2と3は修理中、カジャマールには4号だけが残されていました。『SL No7』の記事では、5号はペルス工場で修理しているのではないかという推測が書かれていましたが、実際に75年になると5号が元気に動いていたのです。
下の状態の機関車がいつの間にか復活している… EFPPをめぐる不思議の筆頭にあげられるできごとでした。
アルコ2号を運転する女性機関士
復活したEFPPには女性の機関士が居るようです。アマンダ・ロペスさん。なかなか堂に入った運転ぶりではありませんか。
この2号機は70年代初めにはガト・プレートに、70年代半ばにはカジャマールに廃車体としか思えない姿で置いてありました(左の写真が71年のガト・プレートでの姿)。衝突事故でフロントビームが欠け、煙突も失われていたのです。ところが、EFPP最後の1年間に驚異の復活を遂げたことから意外な運命に。
5輌のうちで比較的保存状態が良かったため、廃止後30年もたって動態復活されたのです。その際に重油焚きから薪焚きに改造されています。フロントビームが新製されたものか、他機のものを流用したのかは不明です。
動画は昨年コレドール付近で撮影されたもの。
ペルスの機関車 その4
EFPPには5輌のアルコ製2-4-2サドルタンクがいました。北米では、このタイプの入換え機は「ドックサイド・スイッチャー」または単に「ドックサイド」と呼ばれています。埠頭や工場内での入換えに使用され、B&O鉄道(スタンダードゲージ)の0-4-0などが有名で、モデラーにも人気があります。
日本ではサドルタンクの導入例が少なく、三井三池のポーター0-4-2を最後に途絶えてしまいましたが、古くは貝島炭坑でアルコの0-4-0が使われていました(南軽出版局の『貝島炭鉱鉄道1961-1964』82ページに、西尾克三郎さん撮影の写真とアルコ出荷時の写真、1/64のイラストがあります)。
EFPPのこれも、貝島と同じアルコ(クック)の設計ですが、本家北米のドックサイドと比べると動輪径が小さく先従輪を持つ2-4-2であることが特徴です。2フィートの機関車としては、非常に珍しい形態ではないかと思います。
視覚的にはキャブが大きいこと、ドームが「ドイツ軍のヘルメット」みたいな形であるところが「やや難あり」かもしれませんが、写真のように、前方斜め上から見おろすと、すっきりまとまった「かわいらしい」印象があります。