ペルス鉄道をめぐるエピソード その3

 EFPPを訪れたC.S.Small氏は、この鉄道を「機関車の宝石箱」と形容しています。在籍した28輌のうち、アメリカ製はボールドウィンが14輌、アルコがカナダのモントリオール工場のものも含めて5輌、ポーター2輌。ドイツ製はコッペル・クラウス・ホーヘンツォレルン・リンケ-ホフマンの4メーカー5輌。フランス製はドコーヴィルが1輌。その他にブラジル製のサドルタンクが1輌ありました。
 しかも、この中には工場出荷時は2-6-2のタンク機だったのにペルスでは2-6-0テンダーになっているものや、サドルタンク機にテンダーをつけていたこと以外は詳しい情報がないもの、形態的にはドコーヴィルとしか思えないがコッペルの製造とされているものなど、「謎」の機関車がたくさんあります。
 支線を合わせた総延長が20数キロのEFPPに、これほど多くの機関車が集められ、さまざまな改造をされながら1980年代初頭まで活躍していたということは、まさに奇跡的とも言えるでしょう。南軽出版から発売されている『ペルス鉄道1971』では、このうち末期まで活躍していたアメリカ型の機関車を大きく取り上げています。

10号と16号の走行シーン


 1970年代後半に米国人デイヴィッド・コービットによって撮影された動画で、冒頭のシーンのみサンジョアン・デル・レイのVFCOです。
 カジャマールのヤードで入換えをする10号。16号の出発シーン、鐘を鳴らしながら通過する踏切は17.5kmのカンポス。次の大カーブは11.5km地点でアニャンゲラ高速道路と交差する地点。重連はBLW11号とポーターで、コレドール~ペルス工場間。最後の16号と11号はペルスのセメント工場入口です。

ペルスの機関車 その3

 EFPPの16号機はボールドウィン製4-6-0テンダーです。この機関車は「SL No7」には修理中で動輪を外した姿しか掲載されていませんが、その5年ほど後に訪問したときには修理が完了して本線の列車を牽引していました。細身のボイラーと4-6-0の軸配置、小さなテンダーとのバランスも絶妙です。"87precinct"によるダックスのシリーズには登場しませんが、当時この機関車の完全な姿の写真があれば、おそらくラインナップに加えられたことでしょう。
 今回の出版では、この16号の美しい姿を存分にお目にかけます。また、現在ペルスの工場内に置かれている実物の採寸結果をもとにしたイラストも収録されています。

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