線路の楽しさ

      

ダージリン鉄道 1969年の No.1 ループ

けむりプロの訪問時、スクナ駅を出て次の駅ラントンまでの間に最初のループ線がありました。このNo.1 ループは、その後に通るアゴニー・ポイント(No.3) や バタシア・ループと違って、周囲に全景を見渡せる場所がないところでした。

No1 ループ
スクナから8㎞、シリグリから18㎞地点にあったNo.1 ループ。黄色く示したところが線路 1969年 撮影=杉行夫

上の写真は焦点距離24mmの超広角レンズでループ全体をとらえたものですが、線路が見えるのは黄色の実線部分 約3分の1だけで、ループを通過する列車を続けて撮影するのが難しい。 右の写真は、上の写真の左側からループに進入する列車で、この位置からだと崖下と上の線路の関係は少し見えるものの、崖の上の草地に出て 大きな木の下を回る様子が撮れません。
 崖下を回った列車は、道路をくぐった後、しばらく切通しを進みます。右下の2枚目では、切通しを通過中の機関車の煙突からたなびく煙と 安全弁から吹き上げる白い蒸気が見えていますが、まだ列車は視界に入ってきません。画面左の地点で、ようやく列車の屋根を見ることができます。乗っていると ひたすら右にカーブを切り続け、列車が切通しを抜けた瞬間に広い草地に出る、たいへん印象的な地点です。
 右のいちばん下3枚目の写真は、列車が大きな木の下を抜け道路の踏切に差しかかるところ。この踏切は先ほど列車がくぐってきた橋の上にあるという、 たいへんおもしろい場所なのですが、そこには上からループを見下ろすことのできる場所がありません。
 降りて写真を撮ろうとすると、ループ線の様子を見せることと、写真として迫力ある絵をつくることが、なかなか両立しない場所なのです。 撮影者は、結局この2か所を選んで別の列車を撮っているのですが、この2地点での最も良いカットは、 『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』22-23ページにありますので、是非これらと見比べてみて下さい。
 なお、このループ線は1991年の土砂崩れで半壊し、復旧に際してループなしで登る経路が選ばれたので、残念なことに今ではこの景色をみることはできません。 「ドローンを持って撮りに行こう」などとは、思わないでくださいね。

No1 ループ No1 ループ No1 ループ
このループを走る列車の写真は珍しい 1969年 撮影=杉行夫

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