線路の楽しさ
DHRの平面クロス
インドを統治していた時代に、英国は長大な鉄道網を建設しました。けむりプロの訪問した頃、インド国鉄には軌間1676mm(5フィート6インチ)の広軌路線が
2万8千㎞以上、1000mm(メーターゲージ)の路線が 2万5千㎞以上、762mm と610mm のナロー路線が 4480㎞も存在していたのです。
ダージリン・ヒマラヤン鉄道(DHR)は、起点であるニュー・ジャルパイグリから7㎞ほど北のシリグリで、インド国鉄の本線と接続していました。
右の写真は、そのシリグリ駅を出たところですが、線路の様子を見てください。
列車の走っているのがDHRの軌間610mm(2フィート)の線路。手前から奥に伸びているのが1000mmの本線。この場所でDHRと本線は平面クロスしているのです。
異なる鉄道が交差する箇所では、事故防止のため立体化するのが普通ですが、ここは駅を出てすぐなので、立体化は勾配がきつくなりすぎるのかもしれません。
また、DHR側の列車が短く、本数が少ないので、信号機を設け運行を管理をするのが容易だという事情も関係しているかもしれません。
写真の左手、列車の背後にDHR側の腕木式信号機、右に本線側の色灯式の信号機が立っています。おもしろいのは、DHRの腕木式の方が高さがあり、本線の信号機よりも堂々として目立っていることです。
駅の近くにはDHRと本線が並行する区間があり、当時は本線側も蒸気機関車が使用されていましたが、双方の列車が並んで走る姿は見ることができませんでした。
この平面クロス部分の俯瞰写真は『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』8ページ上に、本線の蒸気列車が並行区間を走る写真は 同じく6ページ掲載されています。なお、メーターゲージだった国鉄線は、現在1676mm(5フィート6インチ)の広軌になっており、2フィートのDHRとの軌間の差は以前よりも目立つように なっています。サイト「夢遊生活の日々」に、2007年の訪問記 と 2015年の訪問記 があり、この平面クロスの現在の様子を見ることができますので、ぜひ50年前と現在とを見比べてみてください。 この訪問記で、最近の運行状況や周囲の景観も詳しく分かります。