線路の楽しさ

      

坊主岩のΩ(オメガ)

図は林野庁撮影の空中写真より作成したもの。
なお、当時の国土地理院の5万分の1地図に描か
れた線路の概形は実際とは大きく違っている

 坊主岩のリバース線については以前に取り上げましたが、今回はその先にあるΩの部分です。 坊主岩の停車場で逆を向いた線路は、険しい崖を下流側に向かって500mほども登っていき、突如として急カーブで再び上流を向いて トンネルに入り、さらに勾配を登りながら停車場の遥か上方を通って助六に向かいます。大鹿から助六までの線路は約13kmなのですが、 そのうち1km近くはこの部分の折返しで費やされているのです。

 こんなふうにして高さを稼いでいる箇所は、王滝本線や他の支線にはありませんでした。 非常にスケールが大きいので、全体の様子が写真に納まりません。右上の図で3本の線路が並んでいるように見えますが、 その全部を見ることができないのです。上の写真の場所が、最も線路を見渡すことができる地点なのですが、 最下段の線路は見えません。
 ここを歩いて上がると非常に時間がかかります。そのため、図の春萩越(濁沢)を出てすぐの線路際に ショートカットする経路が作られていました。斜面をハシゴで登っていくとトンネルの直前に出るようになっていたのです。 ちなみに、坊主岩の折返し部分全体を模型のレイアウトにするには、HOスケールで長辺6mほどに なってしまいます。
 Ωの先端部分がどうなっているかは、下の写真をご覧ください。左は急カーブでターンするところ。 右写真はその先トンネル内に入って後ろを振り向き、下流側の出口を見た様子です。

左=トンネル手前から坊主岩停車場の方をふりかえった様子。線路際の木の左に見えるのが支流の濁沢。3枚とも1973年7月 撮影=かねた一郎

ものすごくスケールが大きくておもしろいのに写真で表現するのが難しいのが、坊主岩のΩの特徴と言えるでしょう。 停車場を出て線路が上下に別れていくところと、いちばん上の写真の箇所で撮影した列車の走行写真は、南軽出版局から発売中の「助六」に収録されています。

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