ストラクチャーの魅力

      

阿里山 林場線のティンバートレッスル

 今回も前回に続いて、タタカ線の最高橋梁(右の表紙写真の撮影地点)についてとりあげましょう。 このティンバートレッスルは、阿里山から東へ向かうタタカ線の新高口と終点の中間あたり、 北緯23度28分、東経120度51分、標高2500mを越す地点に架かっていました。 タタカ線の新高口は阿里山から約10㎞で、そこから先は距離を示す記録がないのですが、おそらく この橋は阿里山から15㎞くらいのところにあったはずです。
 ここは台湾の最高峰玉山(新高山)から西に延びる尾根の北側に位置しているため、朝は日光が当たりません。また、 当時の林場線では山火事防止のためか、列車を朝露の残る午前中早くに走らせていたので、この橋を列車が渡る時刻には 橋は未だ陰の中にあります。光が差し込み橋脚を照らすところを撮るには、陽が高くなるまで待たねばならないのです。

タタカ線最高橋梁を谷側から見上げたところ 3枚とも1967年 撮影=杉行夫
左)橋台は木枠の内部に石が詰められている

陽の光を浴びた橋脚の写真は、『阿里山森林鉄道1966-1968』102-103ページに掲載されていますが、橋脚部分は 高さの半分くらいしかありません。その下に同じくらいの高さの橋台があるのです。 右が、その橋台部分がよくわかる写真。角材を組んだ蒸篭枠の内部がどうなっているか垣間見えるのが、通過中の列車から見下ろした下の写真です。

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