四季おりおりの姿

      

2021年 新年のご挨拶

「100年に一度」とも言われる混乱と激動の中、この1年間は様々な活動が従来通りに続けられないもどかしさ、息苦しさを強く感じておられる方も多いことと思います。 軽便鉄道模型祭がWEB開催となり、私たち南軽出版局も新たな写真集をつくることができませんでした。しかし、厳しい状況の下でも 昨秋には第15回軽便鉄道模型祭の報告集『軽便讃歌10』を発行したほか、写真集『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』の再版と 『助六 木曽森林鉄道鯎川線』の増刷も行うことができました。 ご協力いただいた皆様、ご支援いただいている読者の皆様方に心より御礼申し上げます。

カンチェンジュンガの峰々を背景にバタシア・ループを回りダージリンへと向かう列車。1969年 撮影=杉行夫

人類が感染拡大と戦っている最中に趣味的な活動を続けることが、どのような意味を持つのか?と疑問をお持ちの方もおられるかもしれません。 しかしながら、この1年間の稀有な集団的経験は、人間という存在がいかに<不要不急>のことがらを求めずには生きていけないかということを 強く教えてくれるものでもあったと思います。
 美しい光景との遭遇、思わぬ出来事や人との心豊かな出会い、そういう体験をしたとき人間は、他人に何かを伝えずにはいられない、 他者と何かを共有せずにはいられない生き物なのでしょう。親しい人とさえ会って語り合うことが困難な状況であっても、人々は様々な手段で たゆまず表現活動を続けています。幸いにして、現代ではテレビやインターネットを通じて、誰もがそれらに触れることができ、勇気づけられたりホッとしたり 笑ったり歌ったりしながら、この束縛から自由になる日を待つことができます。

 2011年に活動を始めた南軽出版局は、今年10年目を迎えます。かつてこの世に存在した軽便鉄道や小鉄道の魅力を後世に伝えたい、という思いは これまでの9冊の写真集と、10冊の『軽便讃歌』によって、かなりの程度実現することができたと考えています。しかし、私たちの手元には、まだまだ多数の 魅力的な画像が残っており、なによりも若い日の心楽しい記憶は脳裏を去ることはありません。伝えたいことがあり、表現したい意欲も衰えることなく模索を続けています。
 先の見えない状態で新しい年にどのような活動ができるか未だ見通しが立ちませんが、私たちは2021年も出版活動やWEB上での表現を続けるつもりです。 ご理解・ご支援のほど何卒よろしくお願い申し上げます。皆様方のご健康を祈りつつ。

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