線路の楽しさ

      

ダージリン鉄道 グームからバタシア・ループへ

グームの駅を出ると、ダージリンに向かって緩い下り勾配が続きます。途中のバタシア・ループに至る区間は、くねくねと曲がりながら下っていく非常に面白い地形です。 この部分の線形を広角レンズを使って撮影したものを合成した画像が『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』42-43ページ上にありますので、 関心のある方は是非ご覧ください。今回は、そこを下る列車の様子をご紹介します。

グーム駅を出ると線路下に寺院を見ながら下っていく。1969年 撮影=杉行夫

グームを出て、切通しを抜けると視界が一気に広がります。右へ曲がり、チベット仏教の寺院のそばを抜けて 下っていく様子をバタシア・ループから見たのが右の写真。絶気した機関車が薄い煙をたなびかせ、4輌の客車を牽いているのが見えますね。
 グームのあたりは霧に覆われていることも多いようですが、晴れていれば列車の窓からは、バタシア・ループまでの曲がりくねった線路が谷に突き出た部分と、ループのある大きな丘、そしてその背後にそびえる 白く冠雪したヒマラヤの峰々が見えているはずです。

左)線路と道路は激しく曲がりながら並走する 右)ここまで来るとバタシア・ループは目の前 1969年 撮影=杉行夫

この先バタシア・ループまでは1㎞ほどの距離しかないのですが、その間Ωの形をした急カーブが4つ連続しています。山あいのカーブに列車が差しかかると その姿は全く見えません。そこを抜けて再び谷側のカーブを曲がってくるときには、以前に比べ列車はぐっと近づいてきます。
 左の写真は、同じ列車の接近する様子を撮った2枚を合成したもの。さらに接近したところが下の画像です。1枚だけでは分からない立体感が、これでつかめると思います。
 グーム側、バタシア・ループ、付近の山の上、どこから見ても、この区間の線路をくまなく見渡すことは不可能で、列車が消えては現れるところが、ここの面白さなのです。
 機関車が前向きなのはダージリン行きの列車だけですから、下り勾配ゆえ煙を吐いている姿を撮ることはできません。 力行している列車が、この連続したカーブを抜けて進む様子は、グームへ向かう列車をバタシア・ループ側から狙えばよいのですが、 たまに乗客が多い日は、山を下る列車が続行運転になることがありました。
 けむりプロの訪問時には、最大5列車の続行運転に遭遇しています。 この曲がりくねった区間を4列車が走っている素晴らしい写真は 『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』52-53ページをご覧ください。


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