ストラクチャーの魅力

      

ダージリン鉄道 グーム駅のおもしろさ

グームの駅を出発点のシリグリ方から見ると、急カーブで分岐する線路と、その間に建つ不思議な格好をした駅舎、そして巨大な看板が目につきます。 ダージリン行き列車が入る右側の線路は道路と同じ平面上にあり、カルシャン~シリグリ方面行きの列車が入る左の線路は 建物の二階からヤードへ降りるための木製の橋をくぐって長いホームに続いています。

この駅は右側通行で登ってきた列車は右手の線路に入る。このページの画像はすべて1969年 撮影=杉行夫

さらに接近したのが左写真で、看板のタバコの宣伝が上の写真とは違っています。看板の下にはどうやら売店があるようですが、この部分や 左のホーム屋根上にある二階の張り出し部分など、いかにも後から増築したような複雑な形をしています。駅舎全体の俯瞰写真と構内図は 『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』40-41ページをご覧ください。この、ごてごてしたシリグリ側と 長いホームが延びているすっきりしたダージリン側(左下写真)との対照が、なんとも言えません。
 シリグリ側の線路脇にちょっとした柵があるものの、構内への「入り口」は特に無いらしく、人々は道路から構内やホームに入って勝手に歩いているように見えるので、 この柵は何のためにあるのか分かりません。
 二階建ての建物の向こう、屋根のある上り下り両ホームの間に挟まれた平屋が2つあり、両方のホームを結ぶ狭い通路のところに出札口があります。 初めて訪れた人が、どこで切符を買うのか最も迷いそうな場所。
 なんだか、ジブリの映画に出てくる建物みたいな謎だらけの駅ですね。

上)撮影=柳一世 下)ダージリン側 撮影=杉行夫
上)貨物側線との間は広いヤード 撮影=杉行夫 下)謎の小さな車庫 撮影=柳一世

上の写真の右手を見たところが右写真で、広いヤードに留置線が2本。さらに右には貨物側線と 上屋があります。この当時は、ここに貨車が停まっている姿をよく見かけたのですが、この写真の左端、二階建ての建物の下に位置する側線にも貨車が停まっていることがあり、 なぜ2か所で貨物扱いをしているのかも謎です。
 ヤードは、かつてはもう1・2本側線があったようで、写真にその名残と思われるものがいろいろ写っています。貨物側線のダージリン側には、急カーブで分岐した 小さな車庫(右下写真)がありましたが、何を格納していたのかは不明です。
 サイト「夢遊生活の日々」2007年の訪問記 グーム駅へ到着や、 グームの駅は観光スポット で最近の様子を見ることができますが、周囲には住宅が増えているものの、駅舎の構造は変わっていないようです。貨物側線の所は現在、 小公園になっており、駅の二階には資料館がつくられて、観光客向けに営業しているところは昔と違いますが、構内を人が歩き回っているところは 50年前と同じです。

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