車輌の楽しさ

      

100歳を超すダージリンの機関車

779
1892年製を示す銘版。1969年 撮影=柳一世

50年前にダージリンの鉄道で活躍していた機関車の中には19世紀末につくられたものがあり、いちばん古いのは製造後80年を経ていました。メーカーは英国シャープ・スチュアート社の グラスゴー工場で、1889年から1903年にかけて12輌の2軸サドルタンク機関車をこの鉄道に納入しています。(余談ですが、1872年に日本で開通した新橋~横浜間の鉄道で走った10輌の機関車のうち4輌、また1880年に釜石鉱山の鉄道で使用された 最初の3輌の機関車も、この会社の製品です。)
 最初は17から28番までの番号を付けていたのですが、後にナンバーが変更され777から785番までの9輌が同社の製造。1903年合併により ノース・ブリティッシュと社名を変えたので、「シャープ・スチュアート」の機関車は、いま動いていればどれも118歳以上。

779(1969年) 779(2007年)
上)1969年 ニュージャルパイグリ 撮影=杉行夫 下)2007年 カルシャン 撮影=夢遊仙人

左は1969年に撮影された779号(当初の番号は21号)機ですが、この時点で齢78歳。驚いたことに、それから40年近く経った2007年になっても、 この機関車は現役で走っていました(左下)。
 キャブや炭庫は改造され、ライトも大きなものに交換されています。他にも部品を取り換えたり大修繕が行われた箇所があるかもしれません。しかし、 115歳という年齢を感じさせないほど美しく整備されていますね。シリンダーカバーには鳥(?)の装飾がほどこされ、炭庫には"Himalayan Bird"という 立派なネームプレートが付けられています。

もう1輌、古い機関車を紹介しましょう。1899年に同じシャープ・スチュアート社で製造された782号(当初は25号)。これまた2007年に108歳で活躍中でした。このように 古い機関車に手を入れて大事に使っている様子を見るのは、鉄道ファンならずとも何か心暖まる印象があるのではないでしょうか。 それも、この鉄道の魅力の一つであり続けています。

782(2007) 782(1969)
左)2007年 ダージリン 撮影=夢遊仙人 右)1969年 ダージリン駅 撮影=杉行夫

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