人間と鉄道

      

ダージリンの子どもたち

以前に飛び乗り・飛び降りをする子どもの姿を紹介しましたが、50年前のダージリン・ヒマラヤン鉄道では どこでも線路際で大勢の子どもたちを見ることができました。

カルシャン
カルシャン駅の入り口。子どもの歩いているポイントを左に入ると駅。右に進むと本線。1969年 撮影=杉行夫

左下で子どもが遊んでいるのはダージリン街中に延びる市場線(市場線についてはここをご覧ください。 右写真で、ヤカンを下げている男の子は牛乳を買いに来ているのですが、奥に立つ数人の子どもたちは何も持っておらず、 何かを眺めているだけのように見えます。何をしているのか分からない人が、たくさん居るのも当時のダージリン鉄道の特徴でした。

市場線 グーム
左)ダージリンの市場線、撮影=杉行夫 右)グーム駅 撮影=柳一世

小さな鉄道、とくに線路幅が狭い軽便鉄道は、大きく速く絶え間なく走っている鉄道が逞しいけれどもどこかよそよそしく感じられるのに比べ、 人間と鉄道との距離がずっと近い印象があります。それは単にサイズが小さくて可愛らしいというだけではありません。 列車が到着すれば周囲に人々が群がり、ときには我が物顔に駅や線路を歩き回っている様子が、鉄道が彼らの生活にとけこんで、その一部になっているように 思えるからでしょう。

バタシア? チンダリア
左)バタ足ア・ループにて、 右)チンダリア駅 2枚とも撮影=杉行夫

ダージリン一帯は人口が増え住宅が密集し、景観も人々の服装も当時とは大きく変わっています。今世紀に入ってからの夢遊仙人さんのレポート 2007年(前半)2007年(後半)2015年と50年前の写真を見比べると、この鉄道をとりまく環境や、鉄道の性格もすっかり変わっているのが分かります。 けれども、1つだけ変わっていないものは、<人間と鉄道の距離の近さ>。それは今も、この鉄道の魅力の一つであり続けています。

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