編成や運行の面白さ

      

ボギー車を牽くガソ

ポスター(2018年)

軽便鉄道模型祭も第15回目を迎えた2018年、デザイン担当のKさんは、これまで一度もポスターに登場していない沼尻鉄道を素材にしようと考えていました。 沼尻といえば、やはり人気が高いガソ101を出したいと思い、夢遊仙人さんのサイトにあるガソの画像をチェックしていると、 過去に公表されたことがない写真が何点もあります。その中でも、目を引いたのが二軸客車だけでなくボギー客車も従えている姿でした。
 単端式気動車ガソ101は、そもそも過去に鉄道雑誌等に掲載された走行写真があまり多くないのですが、Kさんが見たことがあるのは二軸客車サハを1-2輌牽いているものが大部分でした。 どうせ取り上げるなら、こんな編成も牽いていたんだよ、と同好の士にアピールするものを選びたい。 というわけで、雨模様で少しコントラストの低い画像をシャープにし、周囲の風景を切り落としてガソの凛々しい姿を見せようと加工した結果、 右のポスターになりました。

 ポスターでは周辺の様子が見えていないので分かりにくいですが、この写真は全線のほぼ中間にある会津樋ノ口駅から少し先、酢川の橋で 撮影されたものです。田圃の中にある名家(みょうけ)停留所を出ると線路は大きく左にカーブを切り、この鉄道でいちばん長い橋を渡り、 道路にぐっと接近した後、今度は大きく右カーブを描いて樋ノ口駅に入っていきます。

酢川を渡るガソ1 酢川を渡るガソ2
沼尻鉄道 ガソ101+サハ+ボハ 名家~会津樋ノ口 1963年4月 撮影=夢遊仙人

左が直前の2カット。この日は小雨で背後の山は雨雲に霞み、下の画像では右手の道路を雨傘をさした学生たちが 歩いているのが見えますね。
 沼尻で単端ガソに遭遇するのはなぜか春先が多く、この時も4月末でした。あとから分かったのですが、これには理由があったのです。 沼尻にはディーゼル機関車が2輌しかなく、予備車はこのガソ1輌だけ。当然冬の間は2輌のDLがフル稼働することになり、雪がなくなるとDLの整備にかかる。 そこでガソの出番になる、というわけです。
 ただ、何度もこの鉄道を訪れてガソの走る姿を記録している撮影者にとっても、ボギー客車を牽いているところに出会ったのは この時一度だけでした。

 小さくて可愛らしく、いかにも非力な印象のあるガソ101ですが、雨宮製作所から納品された時の29馬力のエンジンを85馬力の強力なものに乗せ換えていました。 それでも、ディーゼル機関車の7割程度の力なので、DLが整備中だったり故障したりしない限り、動いている様子を見ることは出来なかったのです。
 このときサハの後ろ、最後尾に連結されているのは、やはり雨宮製で浜松鉄道(後の遠州鉄道奥山線)から やってきたオープンデッキのボギー客車。番号が読み取れませんが、おそらくボハ7だと思われます。

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