人間と鉄道
満タンでお願いします 奥山線の給油シーン
内燃機関車や気動車の活躍する軽便鉄道の点景として楽しいものの1つが、ガソリン計量器です。ハンドルを回すとタンク上にある円塔に燃料がくみ上げられ、目盛りを見て給油量を決めたら、レバーを操作して車輌のタンクへ注ぎ込む。サイフォンの原理で動力源を必要としないので、線路脇のどこにでも置くことができます。
奥山駅にあったこの計量器は、気動車に軽油を入れるために使われていましたが、ホースから先に特徴があります。ふつうはホースの先のノズルを手で車輌の給油口に差し込むのですが、このホースは近くの杭の所でパイプに繋がっており、そのパイプは一度地面の中にもぐって線路脇にあるもう一本の杭(右の人物の立っている場所)から突き出ている。その先に再びホースが繋いであるのです。
このタイプの移動可能な計量器はあちこちのナローゲージの鉄道で使われていましたが、もう少し本格的になると、地下にタンクを持つ据付型の計量器があります。静岡鉄道駿遠線の相良にあるものや、下の上松の写真で右側に見えているものが、それです。また非電化の軽便として最後に残った尾小屋鉄道では、バスと共用で、ガソリンスタンドにあるようなポンプ内蔵の四角いタイプになっていました。