人間と鉄道

   

満タンでお願いします    奥山線の給油シーン


 終点奥山駅で給油するキハ1804
  遠州鉄道奥山線  1962年12月  撮影=柳一世

 内燃機関車や気動車の活躍する軽便鉄道の点景として楽しいものの1つが、ガソリン計量器です。ハンドルを回すとタンク上にある円塔に燃料がくみ上げられ、目盛りを見て給油量を決めたら、レバーを操作して車輌のタンクへ注ぎ込む。サイフォンの原理で動力源を必要としないので、線路脇のどこにでも置くことができます。
 奥山駅にあったこの計量器は、気動車に軽油を入れるために使われていましたが、ホースから先に特徴があります。ふつうはホースの先のノズルを手で車輌の給油口に差し込むのですが、このホースは近くの杭の所でパイプに繋がっており、そのパイプは一度地面の中にもぐって線路脇にあるもう一本の杭(右の人物の立っている場所)から突き出ている。その先に再びホースが繋いであるのです。

 このタイプの移動可能な計量器はあちこちのナローゲージの鉄道で使われていましたが、もう少し本格的になると、地下にタンクを持つ据付型の計量器があります。静岡鉄道駿遠線の相良にあるものや、下の上松の写真で右側に見えているものが、それです。また非電化の軽便として最後に残った尾小屋鉄道では、バスと共用で、ガソリンスタンドにあるようなポンプ内蔵の四角いタイプになっていました。

左から鷹巣森林鉄道鷹巣ヤード、1961年 撮影=井上一郎   標茶町営軌道開運町、1970年 撮影=杉行夫   木曽森林鉄道上松ヤード(左がガソリン用で、
 右が軽油用、正面の建物が油倉庫と思われる)、1973年 撮影=かねた一郎   幌延町営軌道問寒別市街 1971年 撮影=かねた一郎

入口へ戻る  画像倉庫トップへ戻る   「人間と鉄道」リストに戻る