車輌のおもしろさ

   

荷台つきの気動車(その3)  尾小屋鉄道キハ2

 尾小屋鉄道にはキハ1からキハ3まで3輌の気動車がいて、そのうちキハ2だけが前後に荷台を持っていました。

2枚とも 新小松駅構内 1977年3月 撮影=高田三郎

 キハ2は戦前の日立製で、寸法は井笠のホジ7~9(梅鉢製)とも近いのですが、屋根のカーブが深いところと、荷台の柵が低いところに特徴があります。この高さだと、あまりたくさんの荷物を載せることはできなかっただろうと思います。
 尾小屋では、普段は車内がすいていれば荷物は客室に入れていたので、あまり荷台の出る幕はなかったかもしれません。しかし、南軽出版局の一員であるYさんは、車内が混雑しているという理由で、運転手にカメラバッグを荷台に置くよう指示されたことがあるので、「荷物を載せる場所」という認識はされていたようです。ちなみに、大事なカメラだけを荷台に載せるのを拒否したYさんは、本人もこの荷台に座って新小松から尾小屋まで旅をしたのだそうです。

 ところで、上の写真で見えていない側(新小松方)の荷台に何か装置が取り付けれているのに気づいた方は多いでしょうが、それが何であるかを実際に確認した鉄道ファンは、あまり多くないと思います。右の写真をみれば一目瞭然ですが、大きな円筒形のものは実は軽油のタンクなのです。
 ここにタンクを備えている例は他になく、おそらく竣工時には純粋に「荷台」だったのでしょう。改造された時期と理由は不明ですが、床下にあるはずの本来のタンクが使えなくなったのか、あるいは容量を増すために増設したのかもしれません。
 それにしても、燃料タンクを据え付けた後、ここは法令上どういう扱いになっていたのでしょう。荷物を積んだこともあるようなので、荷台のままだったのかもしれませんが、さすがに燃料と人を一緒にすることはできなかっただろうと思います。「タンクの脇に人が乗った」話は聞いたことがありません。
 また、燃料タンクの反対側にも、四角い箱のように見えるものがあるのですが、鉄板に囲まれた下にはやはり何かのタンクがあるようです。確たる証拠が見つからないのですが、車内暖房用の灯油タンクではないかと思われます。

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