編成や運行の面白さ
DHRの混合列車と貨物列車
南軽出版局は昨秋、増補改訂版『基隆&瑞三炭鉱鉄道』、新作『軽便鉄道雪景色』の出版だけでなく、品切れとなっていた『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』を増刷いたしました。
開通から140年近い歴史を持つダージリンの鉄道(DHR)ついては数多くの書籍や資料がありますが、これは私たちが自信をもって「世界で最も美しいダージリン鉄道の写真集」であるとお勧めできる内容です。
けむりプロが撮影に赴いた1969年は、DHRが現在のように純粋な観光鉄道としての性格を待つようになる前、まだ貨物や郵便輸送なども担っていた時期であり、列車の種類や編成もバラエティに富んだものでした。
並行道路を走るクルマに物流の主役が移りつつある中、鉄道全盛期の姿を垣間見ることができる、たいへん貴重な記録となっています。
上の写真は、ダージリンから下る列車がバタシア・ループを一周して上部に出たところですが、機関車の後ろの編成は2軸有蓋車+ボギー客車3輌+郵便車。DHRの郵便輸送は1984年に終了し、 その後は郵便車の組み込まれた列車は見ることができなくなりました。郵便車は、側面に郵便受け口があり「メイルサービス」の表示の脇にインド国章を誇らしげに付けている、なかなか優雅なデザインです。 この 国章 は3頭のライオンからなるもので、 その下には「真理は自ずから勝利する」という標語が必ず添えられています。紀元前に作られた「アショーカ王の獅子柱頭」(元は背中合わせの4頭)に由来し、この当時のDHRの車両では唯一、郵便車だけに付けられていました。
この時代、かなりの数の2軸有蓋車や長いボギー貨車が使われており、貨物列車も運行されていました。右はグムを出発したところですが
『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』には、No3ループや、ダージリン駅から奥の「市場線」を走る貨物列車などの写真も収録されています。
インドの旧宗主国である英国にはDHRのファンが多く書籍も多数ありますが、これらの写真は珍しいようで、南軽出版局の写真集を見た英国の愛好家団体から「写真が欲しい」という希望が寄せられるほどです。
郵便車の国章は 『ダージリン・ヒマラヤン鉄道&マテラン登山鉄道』 44ページ上に写真があり、客車や荷物合造車、貨車などの写真とイラストは76~81ページにありますので 興味をお持ちの方は是非ご覧ください。