線路の楽しさ

     

併用軌道上の急カーブ

 前回は田圃の中を直角に曲がる謎の線路をご紹介しましたが、今度は道路の上を激しく曲がっているセメント工場の軌道です。


 松川石灰は、過去に雑誌や単行本で何度かとりあげられていますが、ここの併用軌道上のカーブのおもしろさが分かる写真は、あまり紹介されたことが無いように思います。
 この軌道は、大船渡線の陸中松川駅から砂鉄川の対岸のセメント工場まで延びていました。併用軌道になっているのは橋を渡ってから工場までの区間。写真は、工場側から橋の直前を望遠レンズで撮影したものですが、おそろしい曲がり方をしています。道路上で大きく弧を描いた後、線路はさらに川の手前までカーブし、道路と直角に川を渡っていきます。列車が曲がっていく様子は下の写真をご覧ください。

 昔はセメント会社の小さな軌道が各地にあって、たいがいは石灰にまみれたディーゼル機関車が走っていましたが、他と比べた松川のおもしろさは、このカーブとその先の木橋、国鉄駅の貨物ホーム上に2フィートの軌道が上がってしまうところ。その3つに尽きるのではないかと思います。

 上の写真をみると、カーブの先で道路は沈んでおり、そこに薪?を積んだ荷車が見えています。2枚目で、荷車を牽いている人が後ろを見ているのは、ダンプが接近してくる気配を察知したからかもしれません。残念ながら、この次にどういう光景が展開されたのかは、記録が無く分かりませんが。
 撮影者によると、この道路は「ダンプ街道」で、猛烈なスピードで砂利道を行き来するダンプを左の田圃の中に避けながら撮ったとのこと。望遠レンズをつけたカメラを三脚で道路上に固定し、曲がってくる列車の連続撮影をしたらすごくおもしろいものが撮れただろうと思いますが、「そんなことをしたら命が危ない」状態だったのだそうです。
 この当時の松川石灰の様子をもっと詳しく見たい方は、こちら(撮影者によるレポート)をご覧ください。

 松川石灰専用軌道 1971年8月 3枚とも撮影=高田三郎

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