線路の楽しさ 

    

美しいSカーブ (下津井電鉄)

下津井1
下津井電鉄 琴海~鷲羽山 1971年 撮影=高田三郎

 森林鉄道や産業用の軌道ほどではありませんが、客扱いをしている軽便鉄道にもきつい急カーブがありました。九十九折れで高さを稼いでいく山岳鉄道の例としては草軽電鉄のものが有名ですが、海辺の鉄道にもこういう曲線が連続するところがあるのです。

 下津井電鉄では琴海(きんかい)から鷲羽山(わしゅうざん)、東下津井までの区間で急勾配と急曲線が連続しています。
 海辺から標高133mの鷲羽山の頂上まで、平地はほとんどありません。急な斜面を削って敷かれた線路は、まるで等高線を忠実になぞっているかのようです。急なカーブでは、脱線防止のためにつけられる傾斜(カント)がきつくなるので、電車は右に左に大きく傾きながらカーブを曲がっていくことになり、それが線路の曲がり具合をいっそう引き立ててくれます。

 こういう綺麗なSカーブは、実物ではなかなかお目にかかることができませんでしたが、模型の題材として実に魅力的だと思います。

下津井2

 福田~稗田間にも山越えをする箇所があったのですが、この琴海から先の区間では線路が瀬戸内海に突き出た半島の付け根を横断しています。瀬戸内海をバックに撮影することができることで知られ、上の写真でも背景には海が見えていますが、線路の曲がり具合に注目すると、こんなシーンも撮ることができました。

 この急峻な地形のため道路事情が悪かったことなどから、下津井電鉄は1991年まで存続していたのです。

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