四季おりおりの姿

      

阿里山の雲海に沈む夕陽

かつての阿里山駅は現在「沼平」という駅になっており、その昔の駅と機関庫のあったところは 線路配置や建物なども変わってしまい、西側には公園があり樹木が生い茂っているため、 50年前に撮影された素晴らしい情景を訪ね歩くことは難しくなっています。 西側は谷が広がっているため、陽が沈むころに雲海が見えることもありますが、その彼方に夕陽が沈む瞬間に遭遇するのは、 西の空が晴れていないといけないため、かなりの幸運に恵まれた場合です。

「けむりプロ」の3人が1966年に阿里山を初めて訪れた時、その非常に稀有な瞬間に出会ったのは、考えてみると実に 「強運に恵まれていた」としか言いようがありません。最初の訪問に続いて翌年・翌々年にも阿里山を訪れて撮影 しているにもかかわらず、「けむりプロ」メンバーが「雲海に沈む夕陽」を見たのは最初の1日だけだったの ですから。

阿里山(沼平付近)から西を望む。夕陽は彼方の雲に遮られている 2016年8月撮影
阿里山機関庫に集う3輌のシェイ。1966年2月 撮影=杉行夫

上の写真は、雲海に夕日が沈む直前、ほぼ水平に光が差している瞬間です。左写真は、まさに夕陽が雲海に没する瞬間を とらえたもの。この時に撮影されたものはカラーを含めまだあるのですが、これまで公開されたもので夕陽が見えているのは、 『鉄道讃歌』の裏表紙と、それを発刊記念の絵葉書にしたものだけ。
 一昨年に南軽出版局が出版した『阿里山森林鉄道1966-68』でも、上の写真を含む何枚もの写真が候補にのぼりながら、 最終的には『鉄道讃歌』に使用されたものと同じカットを掲載することになり、素晴らしい写真が何点も 未公表のまま残ることになりました。当面は出版物に掲載する予定はないので、それらの一部を当サイトで公開して 行こうと思います。

雲海の彼方に夕日が沈む。1966年2月 撮影=夢遊仙人

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