車両のおもしろさ

       

井笠ホハの手すりとベンチレーター

 前回取り上げた小坂鉄道の客車について、「地方私鉄 1960年代の回想」で栃尾に譲渡されてからの写真が紹介されています。腰の高さと車輪径の実測値も紹介されていますので、関心のある方は是非ご覧ください。南軽出版関係者の手元には、この客車の竣工図もあるので、いずれそれもご紹介する予定です。

 さて、今回は井笠のホハにまつわる話題を少々。下左の写真は、廃止の時点まで飾り手すりを持っていたホハ12の端面です。前に紹介したホハ7や8に比べて、かなり手の込んだ複雑な形をしています。この車両はシングルルーフですが手すりもこのままで保存されており、最近、ホハ5を引き取った羅須地人手鉄道協会が保存車両を参考にして、この形の手すりをつけた形に修復改造しています。

 また、ダブルルーフの屋根には、横に突き出たベンチレーターが付いています(写真下右)。ベンチレーターには、ガーランド型、円筒型、押込式などがありますが、明治・大正の香り漂うダブルルーフの軽便客車には、やはりこのトルペード型が似合っているのではないでしょうか。

左 井笠鉄道ホハ12、1971年 撮影=高田三郎   右はホハ7 ダブルルーフだが明かり取りの窓はふさがれている 1963年 撮影=梅村正明

模型製作の参考になるかもしれませんので、このベンチレーターの構造図と、ホハ5のベンチレーターの実測値を紹介しておきましょう。下左の構造図は「鉄道辞典」(日本国有鉄道 1958年刊)より転載。 右の数字は、修復作業をしている羅須のSさんが最近車体から取り外した状態で測ったものです。

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