車両のおもしろさ

       

井笠のオープンデッキの美しい手すり

左=ホハ8 くじ場駅構内 1961年3月 撮影=柳一世  右=ホハ7 1963年12月 くじ場車庫 撮影=梅村正明

 井笠鉄道にはバラエティに富む木造客車がありました。ダブルルーフ、シングルルーフ、オープンデッキと妻板のあるもの。妻面もカーブしているものと平らなものがあり、さらに密閉型デッキと、開口部に扉のない開放型デッキ。その大部分が1971年の廃線時まで残されていた上、一部は地元で保存されていたり他所で動態保存されているので、今でも見ることができるものがあります。現役時代の形態は「地方私鉄 1960年代の回想」でダブルルーフ客車シングルルーフ客車に分けてまとめたページがありますので、ぜひご覧ください。

 どの車両が格好よいか、見る人の好みにもよるでしょうが、「軽便鉄道らしい」ということでいえばオープンデッキの車両が筆頭にあがると思います。なかでも、ホハ7と8は、ダブルルーフにトルペード型ベンチレーター、プロポーションも良く、美しい手すりのデザインもあいまって、この鉄道の客車群の中でも特に魅力ある車両だと思います。しかし、これらは1960年代の何時かわかりませんが、手すりが真っ直ぐなタテ枠だけの平凡な形に改造されてしまいました。ホハ8は廃止後も保存されていますが、この曲がり具合は残念ながら見ることができません。廃止時には、これより複雑なデザインを持つホハ12以外、飾り手すりはすべて直線状に改造されていたようです。

 下の写真はシングルルーフのホハ11ですが、60年代後半には手すりが普通の形になっています。どうやら、これも60年代半ばに改造されたようです。強度に問題があったのかもしれませんが、シンプルで美しいデザインが消えたのは惜しいですね。模型の世界では、是非再現してみたいものの1つだと思います。

美しい手すりを持っていた時代のホハ11 笠岡駅構内 1963年12月 撮影=梅村正明 

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