車両のおもしろさ

                        

草軽の車掌室付きボギー無蓋車

上=ホト106 新軽井沢駅 下=ト23+ホト113 二度上駅 2枚とも1959年 撮影=細井扇郎

草軽電鉄の車両では機関車と並んでボギー無蓋車が有名で、模型も複数のメーカーからOナローとHOナロー両方が発売されています。端に車掌室があり、妻面にはハンドブレーキのカバーが出っ張り、その上面は傾斜が付いているところが素敵です。
 車掌室のついた貨車にはホト100(右上)とホト110(右中)の2種類がありました。前者は製造時からこの格好ですが、後者は元は車掌室のある有蓋車(コワフ>画像はここ)だったものを改造したのだそうです。そのため、ホト110の方が車体長が短く、側板の背が少し高く、また外側に倒せる「あおり戸」ではありません。
 右の貨物列車は、草津温泉に向かう下りで二軸の無蓋車を挟んでいますが、牽いている貨車は1両だけのこともあります。混合列車の場合は、貨車は機関車と客車の間につながれ、下りでは車掌室が客車と接しているので凹型のシルエット、上りでは車掌室と機関車が背中合わせの凸型になります。
 荷は石炭・薪・硫黄を運んでいる写真が見つかります。白根火山の付近には、いくつか硫黄鉱山があり、硫黄の精製のため熱源として古くは木炭、後には石炭が使われました。右中の写真で、後ろの貨車に積まれている石炭はおそらく硫黄鉱山向け、前の二軸貨車に積んである薪は暖房用だと思います。

 硫黄を積んで新軽井沢に向かうときはシートをかけていることもありました。左の写真は上りの混合列車につながれているホト110ですが、こんなふうに隙間から黄色い硫黄の塊が見えているところなど、模型でも表現してみたくなりますね。
 新軽井沢の駅からは、国鉄軽井沢駅の貨物ホーム上に線路が延び、硫黄はそこで国鉄のワムなどに積み替えられます。

北軽井沢~栗平間を新軽井沢に向かう混合列車。上り列車は、ホトの車掌室とジェフリーの運転室が背中合わせになる。急勾配のある草軽では、荷を
積んだ貨車と客車を繋いで牽く場合は各1両だけ、空荷のときも最大で貨車2~3両+客車1両という編成だったようだ。 1960年3月 撮影=細井扇郎

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