車両のおもしろさ

      

ワフ特集 その2

   
ワフ
 右上(下津井駅)と右下(長岡駅)の撮影は1960年代初頭(柳一世)、井笠は1971年くじ場(高田三郎)、草軽は1958年草津前口で撮影(細井扇郎)

ワフ特集の第2回目。左上は荷台の付いた電車に牽かれているところが素敵です。
 下津井の有蓋緩急車は「ホカフ」という形式名を持っていますが、この「カ」は車掌室を持つ貨車だけに付けられており、手回しブレーキを持つ貨車には「フ」が付けれていました。このちょっと不思議な規則のため、普通のボギー有蓋車は「ホワ」なのに、車掌室があると「ホカフ」になり、ボギー無蓋車は「ホト」で、それにハンドブレーキが付いた場合は「ホトフ」になります。

 井笠鉄道の場合は、ボギー有蓋車が「ホワ」で車掌室付が「ホワフ」なのですが、同じボギー貨車でもハンドブレーキがオープンデッキの車掌台に付いているものは「ホワ」で、「フ」が付きません。この「フ」はブレーキとは関係なく、下津井の「カ」同様に車掌室を意味しているようです。ちなみに、井笠のホワフには長さ7700mm以上の長いもの(日車製のホワフ5)もありましたが、ホワフ1~4はそれより2m以上短い車体です。→ホワフ4の竣工図

 左下は草軽電鉄の「コワフ」。草軽では客貨車ともボギー車には「ホ」が付いており、これが「ホワフ」でない理由がわかりません。この車体を無蓋車に改造したものには「ホト」の名が付けられているので、消えた「コ」はいったい何を指していたのでしょうか。

 栃尾電鉄のニフは、側面の窓がとてもユニークで魅力的です。しかし、ここにもネーミングの謎が…。二軸有蓋車には形式名「ワ」が付いているのに、なぜかボギーで車掌室のある有蓋車は「ニフ」なのです。草軽のコワフ113が栃尾に移ると、名前は「ニフ23」になりました。運用上も「ニフ」は電車に牽かれるだけでなく貨物列車にも組み込まれており、「ニ」と「ワ」の区別がどういう意味だったのかが判然としません。
 形態の魅力もさることながら、各社それぞれのネーミングも、軽便鉄道のおもしろさの一つと言えるでしょう。

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