特別その他  

 

 薬缶と鉄瓶 


 オープンデッキのシリーズを終えて、客車編の続きに進む前にひと休み。南軽出版局では以前にOスケールのロストワックス製薬缶を販売したことがありますが、今回は薬缶と鉄瓶の特集です。レイアウト上での使い方のヒントにもなると思います。

 ホーム上、七輪に乗せた薬缶があります。まだ低い朝陽に照らされて、長い影が延びています。陰になっているところでは、一番電車で届いた荷物を貨車から降ろしているようなので、一仕事終えたら一服するつもりでしょうか。

 プロパンガスが全国に普及するまで、湯を沸かすには七輪か火鉢、ストーブの上が定位置でした。北海道や、本州でも高地になると、夏の間もストーブにかけっぱなしにしているところが珍しくありませんでした。この写真は新潟平野の真夏なので、早朝とはいえ詰所や待合室で火を焚くと室内が暑くなるから、ホームに置いているのでしょう。

 越後交通栃尾線栃尾駅
  1962年8月  撮影=柳一世

 下の鉄瓶は機関庫の土間に置いてあり、何に使っていたのかハッキリしません。右は事務室の扉を開けてホームとの間に置いてあり、影がきれいに見えていますが「やらせ」ではありません。冬の朝、ホーム上の雪を融かすために薬缶の湯を撒いていたのです。

 こんなふうに、薬缶も鉄瓶も構内のどこに置いても不自然ではありません。レイアウト上で室内に置く場合、巧く外から見えるような工夫をしないと、せっかく努力しても目立たなくなってしまいそうですが、ホームや地面にあると(人形がなくても)人間が活動している息吹を感じさせる点景になるでしょう。建物内でも、土間に置いて扉を開けておくという手があります。土間の火鉢の実例はこちらをご覧ください。

 鉄瓶は重いので持ち歩くことはありませんが、実は薬缶はあらゆるところに出現します。吊るしてある場合もあり、車輌に載せてあったりもします。作業用の小屋の水飲み場だとか、駅から離れた線路脇などでも。

 左=頸城鉄道百間町機関庫 右=百間町駅 1971年1月  撮影=かねた一郎

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