編成や運行のおもしろさ

      

残雪の王滝森林鉄道 不思議な編成

C4+B客3+E型貨車+理髪車+モーターカーNo5という不思議な編成の「みやま」号が大鹿へ向かう 1975年3月 撮影=かねた一郎

この写真では列車が小さくて少し分かりにくいかもしれませんが、木曽の王滝森林鉄道を何度か訪れたことのある方でも、このような変わった編成をご覧になった経験のある方は少ないと思います。
 先頭は10トン機関車ですが、すぐ後ろは車体の一部に黄色い帯の入った客車。この帯の部分は「連絡員専用」で他の部分とは区切られており、本線の「みやま号」に連結されていた一種の合造車です。 その左はボギー有蓋貨車。続く白帯は理髪車。最後にぶら下がっている小さくて白いのは大型(1.5t)のモーターカー。もっと鮮明に分かる写真が下の2枚です。

いずれも1975年3月 (左)崩沢橋梁を渡り大鹿へ向かう 撮影=福井康文 (右)崩沢~大鹿間 撮影=吉田文哉

通常「みやま」号は大型客車2-3輌に貨車を繋いだ編成なのですが、この日は土曜日なので山へ向かう乗客がほとんど居なかったのでしょう。理髪車は「営業」する場所を変えるため、定期列車に連結されて移動することがありました。 また、モーターカーが列車の最後尾に繋がれて移動する姿も、ときおり見ることがありました。しかし、それが同時に起きるというのは、かなり珍しいと思います。この列車は、大鹿で理髪車とモーターカーを切り離して置いていったので、 こんな瞬間に出会えたのは相当ラッキーだったのかもしれません。まるで模型の列車のようなおもしろい編成が走るのも森林鉄道の魅力の一つでしたから、レイアウトを作っておられる方は、思い切って変わった編成を走らせても大丈夫です。
 ところで、一番上の写真と右の写真が何処で撮られたものか気になる方もいらっしゃるでしょう。これらは、かつて大鹿から分岐して対岸を走っていた鈴が沢線の廃線跡から見下ろしたものです。 この支線は、分岐してから急勾配で対岸を逆方向に進んでいました。廃線跡には樹木が生い茂り見通しが効きませんでしたが、樹々が葉を落とす冬の時期には谷を見下ろせる場所があり、 いちばん上の写真の撮影地点あたりでは本線との高度差は50m以上にもなっているようです。

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