ストラクチャーの魅力
阿里山駅の集材柱
神木に比べると注目される度合いが低いものの、かつての阿里山(現在の沼平)駅には、集材用に使われた大木がそびえたっていました。『阿里山森林鉄道 1966-68』をお持ちの方は48pの写真もご覧ください。
てっぺんに見えている細い線は、もしかすると避雷針かもしれません。材木を吊り下げるためのワイヤは失われていますが、固定用のワイヤが3本、右左に伸びているのが分かります。柱の中央あたりに見える、ほぼ水平な4本の線は、ワイヤではなく電線だろうと思います。
この当時、哆哆咖(タタカ)線の東埔(トンボ)や、眠月線の集材地にあった柱は、複数の丸太を合わせてワイヤで結束した人工的なものでしたが、この柱は下の写真で分かるように自然木です。
『阿里山森林鉄道 1966-1968』の発行後に、この時代の阿里山で幼少時代を過ごした方に本をお見せする機会があったのですが、この集材柱の写真を指して「このそばに母の働いていたお店があってね…」と語っていたので、当時を知る人にとっては、この地のシンボルのようなものかもしれません。
そして、この柱は実は今でも沼平に立っているのです。すぐそばには、蒸気集材機が保存・展示されており、100年前の最先端の林業技術を語り伝える存在となっています。
集材柱の現状に関心のある方は、googleのストリートビューをご参照ください。上の写真とは反対側から見たところで、少し進んで画面右手を向くと保存されている蒸気集材機が見えます。さらに前に進むと、構内に保存されている28tシェイ24号機が見えてきます。