ストラクチャーの魅力

     

松の大木のある駅(井笠鉄道 木之子駅)

 井笠鉄道には、とても雰囲気の良い中間駅がいくつかありました。今回とりあげるのは、木之子(きのこ)というおもしろい名前の小さな駅。この鉄道は、大部分が田園地帯を走っているのですが、木之子駅は集落の中にあり周囲に田圃は見えません。

 井笠鉄道 木之子駅 井原側から見たところ 右に分岐しているのは貨物側線 右端に見えているのが貨物上屋 1971年3月 撮影=高田三郎

 この駅は、もともと交換設備と対向式ホーム、それに貨物側線も持っていましたが、末期には列車本数が減って交換をしなくなったため、片方の線路と信号機は外され貨物扱いもなくなっていました。早くからガソリンカーを導入して列車本数が多かった井笠鉄道では、笠岡~井原間の駅のほとんどが交換設備を有していたのです。
 上の写真で、左側は線路が撤去され、もう使われていないホームと倉庫があります。右のホーム上にあるのが駅舎。手前の壁際には洗濯機やら自転車やらがごちゃごちゃと置いてあり、その右に急カーブで入っている側線の先は駅前広場。この鉄道の駅舎には、漆喰塗りのものが多くありましたが、ここも表に回ってみると白壁が目立つ趣きのあるものでした。小さくても駅としての機能が揃っているところが、模型の素材としても好適ではないかと思います。
 そして、ホーム上、笠岡方の駅舎脇には枝ぶりの素晴らしいマツの大木が植えられています。この時点で開業から58年。おそらく樹齢は60年をはるかに越えていたのではないでしょうか。

上写真と反対側から見た駅舎。ホーム上は朝の通勤通学客。左の駅前広場の子どもたちは木之子小学校の生徒と思われる 1971年3月 撮影=雲邊幹人

 周囲の建物も、瓦屋根に白壁の立派なものが多く、歴史のある古村という印象がありました。撮影者(複数)は、この小さな駅の風情が気に入り、廃線間近の数日間に何度か訪れています。今井啓輔さんも木之子駅が気に入られたようで、『私の見た特殊狭軌軌道 4巻』には多数の写真と駅周辺の様子を描いたイラストが載っていますので、関心をお持ちの方はぜひご覧ください。

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