ストラクチャーの魅力

     

古木とミゼット(駿遠線 冬の相良駅)

 駅にある古木・大木は、 ほとんどが駅舎を建設する際に一緒にデザインされたものでしょう。 駅前広場の緑陰、駅舎の脇の木立や、ホーム上の樹木などが良い雰囲気をかもしだしていると、 設計した人物のセンスや想いが感じられて、嬉しくなります。

 静岡鉄道駿遠線相良駅 駅舎の表を藤枝側から見たところ 1962年12月 撮影=柳一世

 静岡鉄道駿遠線には、何故かそういう駅が ほとんど見当たりません。その中で、上の写真の相良は例外的だったようです。 駅舎の背後にある3本の木は、さほど大きくはありませんが枝ぶりもよく、建物や腕木信号機との バランスが素晴らしい。この写真では、さらに駅前に停まっているミゼットが、絶妙の 点景になっています。
 こじんまりとした駅舎だけを見ると、田舎の鄙びた小駅のようですが、実は相良は途中駅で最も広い構内を持っています。貨物上屋と荷扱い用の側線があり、島式のホームがもう1本、留置線やターンテーブル、車庫なども備えているのです。これらの様子は、また別の機会にとりあげることにしましょう。
 線路側から眺めたのが下の写真。やはり、右の葉を落とした木が良いアクセントになっています。ホームに荷物を運んでいる人がいるようですが、上の写真で柵の外側に置いてあったものでしょうか。キャラメルの宣伝のついたベンチ、その右には水道と流しがあり、冬の柔らかな陽射しが当たっている壁には自転車が何台か立てかけられています。いかにも軽便鉄道らしい情景ですが、模型で再現するときには、ぜひ木とミゼットも添えたいところです。

  上の写真と反対側から見た相良の駅舎。左手に貨物上屋がある 右が袋井方 1962年12月 撮影=柳一世

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