ストラクチャーの魅力

      

頸城鉄道 稲架木のある駅

 頸城鉄道といえばサクラだけでなく、これも忘れてはいけない。今回は頸城平野ならではの木をとりあげてみます。

  新黒井側から見た頸城鉄道百間町 右端がハザ木で、左の本社脇の大木はサクラ  1967年1月 撮影=夢遊仙人

 上の写真で右側に並んでいるのが、収穫後の稲を干すための「ハザ木」(漢字では稲架木)です。駅のホームはずれに位置していますが、これは駅の構内に植えられた木ではありません。右側に広がる田圃の畦に立っているのです。
 かつては、刈り取ったイネを天日乾燥させるのが常でした。干すための「ハザ」は、他の地方では背の高さくらいに棒を組んでつくることが多いのですが、新潟ではこうした高木に横木を縛り付けたものが使われていました。枝が上の方だけに広がる形をしているのは自然の状態ではなく、植えた木が伸びる最中に下の枝を切ってしまい、幹が枝分かれせずまっすぐ延びるようにしているのです。樹種はハンノキ・トネリコなどが多かったようです。
 百間町には開業時に植えたと思われるサクラの木もあったのですが、ホーム側のサクラは枯れた枝を切り落としたようで、あまり目立つ大きさではありません。ハザ木は下のように反対側の線路脇にも並んでおり、「百間町といえばハザ木」という印象がありました。
 ハザ木は頸城鉄道の沿線あちこちで見ることができました。今ではイネの天日乾燥をすることは珍しくなってしまいましたが、栃尾線や蒲原鉄道など、かつての新潟の田園地帯を走る鉄道の点景として欠かせないものだと思います。

  上の写真と反対側の飯室方から見た百間町駅。左に並んでいるのがハザ木 1971年2月 撮影=かねた一郎

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