ストラクチャーの魅力

     

会津樋ノ口駅の謎

 沼尻鉄道の駅では、磐越西線との接続駅・川桁と終点の沼尻の線路配置がユニークで有名ですが、途中駅にも、いろいろおもしろいところがありました。会津樋ノ口は全線のほぼ中間に位置していて、上り下りの列車交換が行なわれています。駅舎や駅前広場、周囲の景観なども興味深いのですが、今回はプラットホームに注目してみましょう。

 沼尻鉄道 会津樋ノ口駅 中央の線路に停まっているのは川桁行きの混合列車。その向こうは沼尻行き列車 1958年7月 撮影=細井扇郎

 地面から人が乗り降りしています。車輌の小さい軽便鉄道ではままある光景で、ここ沼尻鉄道ではまともなホームがあるのは川桁と沼尻だけ。それだけなら特に驚くこともありません。しかし、左の列車が停まっている線路の向こうには、なぜかホームがあるんです。
 上の写真で右手に駅舎があります。改札を出た乗客は、構内の線路を1本渡って中央の線路上の列車に乗る。もう1本向こうの沼尻行き列車に乗るお客は、線路を2本渡って地面から乗るのかと思うと、さにあらず。下の写真のように、駅舎の反対側にはそれなりのホームがあって、そこで列車を待っていました。

 沼尻鉄道 会津樋ノ口駅 上の写真と反対側のから 沼尻行き列車を待つ乗客がホーム上にいる 1966年9月 撮影=夢遊仙人

 もしかして、その昔は駅舎側にもホームがあったのか?と思い、いろいろ写真を眺めてみましたが痕跡も見つからない。図面(RMライブラリー113『日本硫黄沼尻鉄道部 上』に掲載)を見ても、この駅の図にはホームが描いてない。どうやら、鉱山鉄道として生まれた開通時には、樋ノ口駅にもホームは無かったようなのです。
 つまり、後から駅舎と反対側だけにホームがつくられたということになるわけですが、その事情が想像もつかない。さて、いったいどんな理由だったのでしょう?

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