ストラクチャーの魅力

    

頸城鉄道 1960年の新黒井駅

 前回とりあげた上総片貝は平屋でしたが、2階建てで格調高い駅舎といえば頸城鉄道の新黒井と浦川原が有名です。この新黒井の駅舎は、元は石油会社の外国人社員用宿舎だったとか。1階部分は普通の駅と変わりが無いですが、たしかに2階の窓のデザインが洋館風ですね。部分廃止後に様々な角度からみた写真と模型化の例が ノーブルジョーカーのサイト で紹介されています。

 上の写真は、国鉄の黒井駅ホームから見たところ。駅名の看板には、KUBIKI RAILWAY SHINKUROI STATION というローマ字が書かれています。さしかけ屋根の下には電話室があるのですが、上総片貝駅にあったような丸みを帯びた赤い屋根の鋼製電話ボックス(丹頂式=1954年から設置)ではなく、もっと古い木造のタイプでした。

 線路を渡って横から駅舎を見たのが左写真。2階の大きな看板が目を引きますが、その左下にご注目ください。いかにも軽便鉄道らしい腕木式信号機。電電公社時代のマークがついた木造電話ボックス。手前に停まっているのは、1959年発売のダットサン・ブルーバード。建物まわりの小物が絶妙です
 

 電話ボックスは60年代後半にはなくなり「電話」という楕円形の看板が屋根から下がっているので、赤電話が待合室の中に置かれるようになったのでしょう。
 「新黒井ハイヤー営業所」という看板からすると、この駅では自動車部門の営業もしていたようです。ひょっとしてハイヤーを呼ぶと、このホーム上にクルマが来たのでしょうか。
 さて、頸城のホームから国鉄側を眺めたのが右写真ですが、これと一番上の写真を見比べて、何か気づきませんか?

 頸城鉄道 新黒井駅 3点とも 1960年4月 撮影=夢遊仙人

(こたえ) 駅名票の表示が、国鉄側では「しんくろい」、頸城側では「しんくろゐ」になっているのです。

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