ストラクチャーの魅力

    

駿遠線  新横須賀駅の水タンク

 この写真は、2016年の第12回軽便鉄道模型祭の入場券に使われていましたので、ご記憶の方もいらっしゃるでしょう。停車中の機関車のラジエーターにバケツで給水しているという、軽便ならではの愉快な光景です。線路脇には水のタンク、ホームの反対側には「両腕式」の腕木信号機が見えます。駿遠線の他の中間駅には、こういうタンクは見当たりません。元は蒸気時代に作られたものかもしれませんが、この頃の新横須賀という駅だけに、なぜタンクがあったのか不思議です。

 静岡鉄道駿遠線 新横須賀駅 1961年7月 撮影=柳一世

 ところで、バケツの水をどこから汲んできたのでしょう? タンクの下には、井戸のようなものが見えていますが、拡大してみるとこれは手こぎ式の井戸ではなく、上のタンクに地下水をくみ上げるためのポンプらしい。

 左上の写真を部分拡大したもの 

 ホーム上に目を転じると、水呑み場がありました。線路脇のタンクは、水飲み場への給水のために使われていて、運転士さんはそこでバケツに水を汲んだのでしょう。
 タンクについている看板には「スポーツ」「鞄 靴」「オオモト 横須賀本町通り」という文字が見えます。上端には「新横須賀駅」、右が「袋井方面」左が「藤枝相良方面」と書かれています。駅名票の役割をして、広告収入も稼ぎ、乗客の喉を潤す。なかなか立派な仕事ぶりではありませんか。

 ホームの水飲み場は60年代後半には改装されている 1962年8月 撮影=夢遊仙人

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