ストラクチャーの魅力

       

小坂鉄道大館の給水タンク

雨宮製蒸機12号は正面に番号が付いていなかった 1960年 撮影=柳一世

 前回の写真にも写っていた、大館機関庫の給水タンク。今回は、そこへ接近してみましょう。これが稀に見る逸品です。トタン屋根の下にあるのは、どう見ても大きな酒樽か味噌樽。それを間に合わせの枠組みで支えているとしか思えません。

1960年 撮影=細井扇郎

 左の写真では漏れた水が凍ってツララ状になっているのも目に付きますが、脚の部分には材木とレールを切ったらしき鋼材の両方が見えます。あちこちに後から打ち付けたらしき角材や丸太があり、なぜか樽の機関庫側だけに板が貼り付けられています。設計図なしに工作を始めて、必要に応じて現物あわせで追加していった結果、こんな状態になったのでしょうか。
 水を引いてくるパイプには凍結防止のため藁が撒きつけてありますが、このパイプは給炭台の方から水平に引かれていて、タンクの下で一度地下にもぐり、反対側で地上に出て、樽の上部に達しているように見えます。
   これだけ複雑で、なおかつ隙だらけのストラクチャーというのも珍しい。これを見て「萌え」るモデラーがいらっしゃるとすれば、よほど腕の立つ方でしょうか?ヘタに模型化しても、ゴチャゴチャとうるさく見えるだけになりそうで、何を省略するかがポイントかもしれません。あ、屋根の下の電球はチャームポイントとして外せないですね。
 1962年に撮影された写真(左)では、タンクは撤去されてパイプだけになっています。そのパイプ先端の下にも、ご注目ください。木の樋に、ジョウゴのようなものが載っており、そこから機関車のタンクへ注水しているようですが、重心の位置を考えると、どうやって支えられているのかが謎です。まさか給水口に突っ込んでいるだけとか?

 小坂には、他にもユニークな木製のタンクがありました。それはまた次回に。

タンク撤去後 1962年 機関車は雨宮11号 撮影=柳一世

入口へ戻る  画像倉庫トップへ戻る   「ストラクチャーの魅力」リストに戻る