四季おりおりの姿
冬の頸城野(雪まみれの機関車)
軽便鉄道冬景色その3は、豪雪地帯の頸城鉄道です。この鉄道は2輌の除雪車を保有しており、ラッセル車は主に本線の除雪用。構内では脇に雪をどけると隣の線路が埋もれてしまうので、そのためにロータリー車があります。南軽出版局のメンバーは残念ながらロータリーによる除雪は撮影していないのですが、ラッセルの出動はRMライブラリー77『頸城鉄道』、『軽便讃歌II』、そして「夢遊生活の日々」などに多くの画像が公開されています。
除雪列車の様子は上記の書籍やサイトを見ていただくとして、今回はこの土地の積雪の凄さを物語るシーンをとりあげましょう。
右の写真は、上記の記事やサイトで紹介されている「救援列車が立ち往生した」1967年2月のある日。なんとか吹き溜まりを脱出した始発と救援の機関車に続き、後続の列車が新黒井の駅に到着したところです。先頭の機関車DC92は、進行方向に対して右側が雪に覆われ、運転席から右前方が見通せないほど。
この機関車は、早朝6時半ごろに百間町の機関庫を出て、浦川原まで往復して新黒井まで来たのですが、走り始めて3時間ほどでこんな状態になってしまったわけです。
こうした猛吹雪の日は、列車を間引いて1編成だけの運行にし、ラッセル車を機関車が重連で推す列車が走ります。終点に着いたらラッセル車の方向転換をして、再び定期列車の前を走って除雪。それを繰り返して、なんとか列車の運行を確保していたのが、この鉄道の冬の厳しい現実でした。
下の写真は夕方の百間町構内。午前中から何往復かラッセルを推していたDC123が、ライトを付けたまま車庫脇の本線上に停まっています。実は、燃料切れで車庫の窓からホースを出して機関車に給油中なのです。機関車を車庫内に回すには、ポイントや側線を除雪しなければなりません。その手間を省くために、こんな手段が使われていました。
給油が済むと、保線区員を乗せて再び除雪列車の出発。ラッセル車も機関車も雪が車体にこびりついて真白になっていますが、その雪をすっかり落とすのは一日の仕事を終えて機関庫に戻ってからになります。