四季おりおりの姿

     

ひろびろたんぼ3(夏の混合列車)

沼尻の夏

 沼尻鉄道といえば、磐梯山や併用軌道、終点沼尻のデルタ線などが有名で、こういう風景の中を走るという印象が薄いかもしれません。しかし、川桁から会津樋ノ口あたりまでは左手に広い田圃が広がっており、そこから終点までは山が迫って来るもの、やはり田圃の中を走る箇所が多くありました。
 「夢遊生活の日々」に紹介されているたくさんの写真を見ると、この鉄道の沿線は、ごくふつうの日本の農村らしい田園風景であったことがよくわかります。

 ある意味で「平凡」とも言えるこの鉄道の魅力が広く知られるようになったのは、廃止される直前のころでした。橋本真さんたち「さーくる軽」が『鉄道模型趣味』誌上で、Nゲージの線路や部品を利用した日本型ナロー模型の展開を追及し、そのプロトタイプとして沼尻を詳しく紹介したのです。また、キネマ旬報『蒸気機関車』に掲載された「鉄道讃歌 五能線/日曹/沼尻」には、この鉄道のさまざまな魅力を伝える写真が、12ページにわたって掲載されました。
 左は、そのけむりプロの作品2ページ目の写真です。稲穂が伸び始めた田を、二軸貨車とオープンデッキの客車を従えて進む混合列車は、実に魅力的ですが、この光景が誌上で発表されたときには、すでに沼尻鉄道は走っていませんでした。

 「ひろびろたんぼ」を行く列車がさらに進むと、下の写真のように、背景には磐梯山の威容が迫ってきます。


沼尻の夏沼尻の夏
 沼尻鉄道 荻窪~白木城間 1960年8月 撮影=柳一世 (2枚とも)

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