四季おりおりの姿

頸城鉄道  DL三重連と女子高生

新黒井の三重連
DC123+DC92+DB81の牽く雪まみれの列車 新黒井駅 1967年1月 撮影=梅村正明

 頸城平野は、日本海側でも屈指の豪雪地帯です。一晩に何十cmも積もり、それが続くと積雪が数mにもなることがあるのです。融雪溝と散水装置、除雪自動車が整う1970年代までは、冬になるとこのあたりの道路はバスやトラックが走れなくなることが、しばしばありました。頸城鉄道の部分廃止が1968年、残された区間が1971年まで動いていたのも、道路が利用できないという事情があったからなのです。
 とはいえ、列車の運行を確保するのもたいへんです。上の写真は、この鉄道の機関車3台すべてが客車1両と貨車1両を牽いて新黒井の駅に停まっているところ。RMライブラリー『頸城鉄道』で紹介された、1967年1月の大雪の日。未発表の1シーンです。

 こんなにまでして、列車を走らせなければならないのは、ちゃんと乗客がいたからです。列車に乗り込もうとしているのは、服装や手にしているカバン、背格好からして女子高生たちでしょうか。時刻は10時ごろなので、もしかすると大雪で休校になり、家に帰るところかもしれません。木造のボギー客車には、4~50人の客が乗ることができるのですが、車内はとても混雑している様子です。
 三重連に牽かれた短い列車は、これから百間町まで5kmあまり、終点浦川原までは15km、降りやまぬ雪と格闘しながら、彼女たちを送り届けなければなりません。

女子高生たち客車に乗りこむ
3両の機関車の後ろ、たった1両の客車に乗り込む女子高生たち。 新黒井駅 1967年1月 撮影=梅村正明

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