車両/編成や運行のおもしろさ

西大寺鉄道 単端が牽く木造客車

小坂
キハ3が木造オープンデッキのハボを牽く  1961年3月 撮影=柳一世 

 期間3フィートの軽便鉄道で最後まで残った西大寺鉄道には、変わった気動車がありました。ボギー車を半分に切って2両にしたキハ8とキハ10が有名ですが、最初に購入したキハ1~5も、後部に貫通扉とデッキがあるという、単端式の気動車としては他に例のない形をしています。湯口徹さんの「レールバスものがたり」では、「客車牽引を常としていたために車掌が巡回するのに便利なように設計したのでしょう」と説明されています。上の写真は、キハ3が客車を牽いているようすですが、よく見てください。
 客車のほうは車輪径が小さく床が低いため、せっかくのデッキの高さがひどく食い違っています。これでは、車掌さんが巡回しようとしても、走行中は危なくて無理だったのではないかと思えます。下左の連結面の画像を見ても、客車との間隔が広すぎてデッキが役に立ちませんね。どうしてデッキをもっと低く長くしなかったのか。謎です。

 下中の写真もキハ3なのですが、正面3枚の窓のうち、2枚が開いています。両側は下に落とし込むように、中央の窓だけは内側が上がるようになっているようです。夏の暑い日には、正面の窓をすべて開けて走っていたのでしょうか。
 さらに、下右の写真をみると、側面の窓には、日よけの?鎧戸までついているのです。リベットだらけの鉄板に、内装までずいぶん重たそうな車体ですね。
 牽いている客車は、木造ダブルルーフ、オープンデッキという、たいへん古風な形態です。この客車も、窓に鎧戸がついているのです。こんな客車が20両もありました。動力車も客車も、軽便にしてはなんだか妙に重厚な印象がある鉄道です。

連結面 正面 窓
左) 1961年3月 撮影=柳一世。 (中)(右)西大寺車庫 1962年4月 撮影=井上一郎

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