車輌のおもしろさ

     

花巻軌道線の細い電車


 花巻をとりあげて、これを語らないわけには行かないというのが軌道線のデハ、通称「馬づら」です。

上左=鉛温泉駅のデハ1 後ろに幅の狭い貨車を牽いている

 左の写真で、この路線の電車が、異様に巾の細いものでなければならなかった理由がわかると思います。狭い未舗装の併用軌道では、トラックやバスなどとすれ違うこともあるので、花巻電鉄が最初に雨宮製作所に電車を注文したときに、車体の巾をギリギリ1m50cmほどしかとることができませんでした。
 内側から見た運転席は下左。運転手さん1人が立って操作すると、それだけでいっぱいです。つり革があるのですが、座席に人が座ると下右のように膝と膝が触れ合う状態になるので、立ってつり革につかまることはできません。軽便鉄道には、一般の鉄道の感覚からすると<信じられないもの>が色々あるのですが、このつり革は何のために存在するのか分からない点で、「軽便の不思議」筆頭にあげられるのではないでしょうか。揺れはかなり激しかったようなので、座らずに立って外を見ていたい人には、必要だったかもしれませんね。

デハ1車内  3枚とも 1960年 撮影=柳一世 

 このデハ3に牽引されていた客車や貨車にも、巾の細いものがありました。下のサハ3は、廃車になった後の姿ですが、この車輌は現役時代の写真があまり残されていないようで、そのせいか模型化されたものも微妙に印象が違うような気がします。

  花巻駅構内に放置されていた軌道線サハ3の廃車体 1958年 撮影=細井扇郎 

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