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車輌のおもしろさ

   

丸妻の電車(松阪線)


 妻板の丸い客車は、少し前に奥山線のものを紹介しましたが、軽便鉄道には「丸妻」の電車も走っていました。今回紹介するのは、「松阪牛」で有名な三重県の松阪を走っていた電車です。

 モニ201形202 三重交通松阪線松阪駅 1962年3月 撮影=柳一世

 大正の初めに松阪から大石までが開通した松阪軽便鉄道は、昭和2年に電化をして松阪電気鉄道となりました。この電車は、そのときに日本車輌から購入した3輌のうちの1つで、モニという名前が示すとおり荷物合造車です。全長11mほどの車体に3つ扉がありますが、いちばん前の扉は荷物室用です。この扉から前のカーブした部分に運転席があります。
 もう1輌あった電車モ250も、同じく電化時に買ったもので、やはり丸い妻面を持つ電車ですが、最初は客車だったのを電車に改造したのだそうです。

 上の写真は、松阪駅に停車中の大石行き列車で、後ろに連結している小さな客車は中勢鉄道のガソリンカーを改造したサ461です。
 下は、これまた「丸妻」で荷物室を持つ客車。大正期に梅鉢という会社で作られた木造客車で、上の電車より3mも短いのに、やはり3つの扉を備えていました。サニ421から426まで6輌があり、三重交通になってから他線より移ってきたもの。松阪線には凸型の電気機関車もいて、これらの短い古風な客車を牽いて走っていたこともあるようです。

  松阪線は1964年に廃止されてしまい、モニは客車に改造され内部線へ転出したものの サニは全車が廃車になってしまいました。
 三重交通~三重電気鉄道の軌間762mmの路線は、後に近鉄の傘下に入り現在まで残っているものもあります。さまざまな車輌が走っていましたが、この時代の松阪線の車輌が、とりわけ「軽便らしさ」があるように思います。

 サニ421 松阪駅構内 1962年3月  撮影=柳一世   

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