車輌のおもしろさ

   

荷台つきの気動車(その2)  西大寺のキハ6と7


 気動車や電車に荷台には「鮮魚台」という呼び名もあるので、魚貝類を客室に入れずに運ぶために使っていたところもあるようですが、内陸部の軽便鉄道の場合は、特に荷台が必要なほど生魚を運んでいたとは思えません。荷物車のない鉄道では小荷物輸送に使用した例が多いようですが、おもしろいのは、荷台が自転車やオートバイを載せるスペースとして公認されていた西大寺鉄道です。

 左=キハ6 財田駅 右上=キハ6 西大寺駅 1961/62年 撮影=柳一世 右下=キハ7 1971年 撮影=山猫軒主人

 左の写真は、すでに別のテーマで紹介したものの部分拡大ですが、西大寺鉄道ではキハ6やキハ7の荷台に自転車やオートバイを載せるのは、ごくありふれた光景だったようです。駅員が自転車を荷台に誘導しているところや、乳母車を荷台から下ろしている様子は、「軽便讃歌5」のDVDに収められている「山陽映画アーカイブス なつかしの鉄道シリーズ②」で見ることができます。
 西大寺鉄道には、両端に荷台の付いた大きなボギー気動車が2種ありました。キハ6は四角い車体で運転席の窓上にひさしがあるのが特徴。もう1つのキハ7は両端が流線型で窓上のひさしはないですが、どちらもどっしりと重厚な印象のある車輌です。デザインの差は日本車輌と川崎車輌というメーカーの特色が出ているように思いますが、荷台を装備していた理由が元々自転車を載せるためだったのかどうかは分かりません。小さな単端キハ1~5が牽く列車の場合は、自転車は客車のデッキに載せており、落下防止のためデッキの手すりに簡単な固定器具がついていたそうです。
 これらの車輌が活躍している当時の姿は、「地方私鉄 1960年代の回想」や、岡山模型点DANのサイトなどで、詳しく紹介されていますので、ぜひご覧ください。

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