車輌のおもしろさ
頸城のボギー客車
頸城鉄道には5輌のとても整ったボギー客車群がありました。
ハ5・6やニフが明治の「マッチ箱」と呼ばれた客車の特徴を持つのに対して、大正初期に製造されたホハ1~5は、屋根はシングルルーフ、アーチバー台車をもち、全長は9.5m以上。写真の機関車DB81やワフが、いかにも軽便鉄道らしいのに比して、あまり小さい印象はありません。井笠の客車の手すりや、沼尻のボハフの窓のようなチャームポイントも見当たりません。しかし、これらが2輌3輌とつながっている編成は、非常に整った美しさがあると思います。
この5輌は1914年に日本車輌でつくられて以来、ホハ5のみが一時期ホジ4という気動車になって再び客車に戻されたものの、他は大きな改造を受けずにほぼ原形のまま、1971年の廃止まで使われ続けました。寒冷地であるにもかかわらずデッキが開放型のままだったので、何も無い床下とあいまってすっきりした美しいシルエットを見せ、雪景色の中ではそれがいっそう目立ちます。妻板の貫通部には扉がありませんので、荒天の日には吹き込んだ雪で右の写真のようにデッキが真っ白になっていることもありました。
細部にも興味深い点はあるのですが、この客車の一番の魅力は各部のデザインというよりも、全体を眺めたときのバランスの良さ、そして編成に組みこまれた姿ではないでしょうか。