車両のおもしろさ

       

小坂鉄道の客車

 小坂のホハ7 大館駅 台車と連結器まわりはナローにしては立派なつくり 1960年3月 撮影=細井扇郎

 ナロー時代の小坂鉄道には、このような整った形態を持つ一群の客車がありました。ダブルルーフ、オープンデッキ、そして、これもまたシンプルながら美しくカーブした手すりを持っています。アーチバーではなくてイコライザー付きの台車であるところも、この車両の格調をいっそう高めています。長い混合列車の最後尾に、荷物合造車とともに連結されて使われていました。
 これら小坂の客車は、2フィート6インチの軽便鉄道にしては相当に大きなものでした。下の写真は、すでに紹介した井笠のホハ7、下津井のホハ30とレール巾をそろえて並べてみたもので、撮影の角度やレンズの違いなどがあるため完全に同じ比率にはなっていませんが、だいたいの大きさの比較ができると思います。

 左から、井笠鉄道ホハ7、中=下津井のホハフ30 右=小坂ホハ7 左は撮影=梅村正明、中と右は撮影=柳一世 

こうして並べてみると、ナローといっても小坂の車両はかなり大きいことがわかります。上回りは3フィート6インチの地方私鉄並みでしょう。サンディリヴァーの客車などに見られるように、車体は本格的なつくりなのに車輪径が小さく腰が低い、というのがナローの車両の魅力の1つの要素だと思いますが、小坂の車両はまさにその一例と言えそうです。

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