車両のおもしろさ

       

頸城のニフ(荷物緩急車)

         
右から2号機+ハ5+ニフ1 コッペルお別れ運転の際の入換え作業中のシーン 百間町付近 1966年5月 撮影=杉行夫 

 ボギーの合造車が続いたので、今回はちょっと小さい二軸の荷物緩急車、頸城鉄道のニフ1にまつわるお話です。
 この車両は1968年の部分廃止まで客車列車や混合列車に繋がれて走っていたので、比較的よく知られていると思います。現役時代の写真は、「夢遊生活の日々」「地方私鉄 1960年代の回想」にいろいろ紹介されていますので、ぜひご覧ください。
 上の写真はハ5と繋がれているところですが、やはり大きなホハと連結するより二軸客車と並べた方がバランスよい印象があります。中段写真の編成は混合列車で、ボギー客車と二軸貨車の中間に入っており、下段はボギー客車の後尾に繋いでいる例。妻面の左下には尾灯掛けがありますので、模型でも最後尾にするときは、ここに赤い標識かランプを下げたいですね。

 ニフは魚沼鉄道(国鉄の軽便線)からやってきて、頸城で荷物車に改造されたらしいのですが、木造ダブルルーフ(側面には鋼板が張られていた)で、明治の「マッチ箱」と呼ばれる客車の雰囲気を残しておりました。68年の部分廃止時に廃車となり、しばらく新黒井構内に放置されていたものの、その後は今世紀に入るまで一般には行方が知られていませんでした。
 実はニフはホジ3などとともに篤志家の手によって引き取られ、神戸市内に移されていたのです。1972年、羅須地人鉄道教会の前身ともいえる「全日本小型機関車研究会」(通称87/87=ハナハナ)が、廃止後の頸城を訪れて車両を購入しようとしたことがありました。そのとき、会の有力メンバーのお目当てはこのニフだったのですが、現地に着いてみると所在不明。「小さい車両はラキならある」との報告に「それを買え」との指示が出て除雪車を購入。神奈川県へ運んで改軌し、糸魚川の東洋活性白土に運び込まれたという経緯があります。もし87/87の活動がもう少し早く始まっていたら、ラキではなくニフが成田ゆめ牧場で動いていた可能性もあったわけです。
 六甲山中に運ばれたニフは、三十数年も湿度の高いトンネル内にあったためか木造車体は腐ってしまいました。幸い下回りは無事だったので、「くびきのお宝を残す会」等の努力により、すでに復元が完了しているとのこと。今年は「くびき野レールパーク」に姿を現すのではないでしょうか。次の公開日はもうすぐ、6月15日です。公開日等の情報はここを参照。

中:新黒井での積み込み 1961年 撮影=梅村正明 下:側面には「郵便荷物専用」の札がかかっている 百間町 1961年 撮影=柳一世

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