車両のおもしろさ

       

小坂の合造車(荷物緩急車)ホニ1

上=ホニ1 小坂には同型のものが2両あったようで、「鉄道讃歌」に掲載されているホニ2のサイドビューもこれとほとんど同じだが、車掌室の窓の位置が
 ホニ2の方が少しだけ低いようだ 小坂駅 1961年 撮影=柳一世 

 改軌される以前の小坂鉄道については過去に公開されている資料が少なく、模型化された例も少ないようですが、沿線風景にも、車両や編成にも実に興味深いものがあります。格調高い客車が揃っていて、貨車のバラエティも豊富。すでにタボやボボをご紹介しましたが、今回の荷物緩急車もなかなかに味わい深い形態をしています。

 この車両は元々流山軽便鉄道の客車で、小坂に来てから改造されたものだそうです。車掌室の扉が内開きであるところや、窓のデザインなどがユニークですが、色は平凡なダークブラウン。車内にガソリン発電機を持ち、客車の照明用電源供給のため混合列車の最後尾に連結されて使われていました。
 一般的な基準からすると「ニフ」の仲間で、小坂の他の車両の形式名からは「ニボ」とされてもよいだろうという気がしますが、なぜ「ホニ」なのでしょう? 独自のネーミングがあって謎の多い軽便鉄道の中でも小坂の貨車は特にそれが顕著で、「ゴボ」「シモ」「トチ」「コト」など規則性が分からない妙な名がいろいろあります。

 右の3枚は、大館に停車中の列車に連結されていたホニですが、ホームと反対側の扉が開け放されていたために記録された、たいへんおもしろい連続写真です。右上では車掌室の窓に車掌さんがいるのが見えています。2・3枚目では、次々と小荷物が運び込まれ、車掌さんがチェックをしているらしき姿が分かります。「お兄さん、それは二個口だから料金は別だよ」「ここに置いていいかね?」「揺れると落ちるかも知らんよ」「あ、茂内で降ろすものはこっち側ね」といった会話が聞こえてきそうな瞬間。

 この時代、鉱山町として栄えていた小坂には、毎日たくさんの荷物が送られていたのでしょう。そんな時代のこの鉄道の日常がもっと多く記録されていれば、私たちの「味噌汁軽便」のイメージはもっとふくらみ豊かなものになったのではないだろうかと思います。

 3枚ともホニ1 上の写真と反対側の側面。大館駅 1962年 撮影=柳一世

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