車両のおもしろさ
ワフ特集 その1
軽便鉄道の貨車で魅力的なものというと、後ほど取り上げる予定の合造車とともに、車掌室や車掌台の付いた木造の緩急車、それもボギーのものがすぐ思い浮かびます。その実例を、2回に分けて取り上げてみたいと思います。
左上は、九州にあった日鉱佐賀関専用鉄道のケワフ30。名前のケは「軽便」のケで、側板に斜めに入っている梁、車掌室扉脇の十字の桟がある窓などのデザインもユニークです。自社工場製で、この鉄道の唯一のワフでした。
上右は、西大寺鉄道にあった車掌室付きのもので、撮影時点では既に廃車にされていたのか社紋も番号も消されていました。左下も西大寺のワボ。加藤鉄工所というところで作られたと言われています。西大寺ではボギーの客車がハボ、有蓋車がワボ、無蓋車がトボという名を持ち、このワボ1はハンドブレーキがあるのに車掌室が無いためか形式に「フ」が付いていません。
佐賀関のケワフも西大寺のワボも、台車と車輪径が小さく腰の非常に低いところが軽便風で素敵です。
ところで、形式名の謎といえば小坂鉄道の「ボボ」(右下)。ボギーのタンク車には「タボ」という形式が付けられているのに、有蓋緩急車が「ワボ」ではなく「ボ」が2つ連続している理由がよく分かりません。これは軽便鉄道にしてはかなり大きく背の高いものです。
ネーミングの謎は他にもいろいろあるのですが、その実例はまた次回に。