今月の写真

「今月の写真」では、南軽出版局関係者が撮影した、軽便の魅力に溢れるシーンを公開します。ここで掲載したものは、翌月には再分類して「軽便の魅力」ページの画像倉庫にしまっていきます。 当面は隔週の更新で、新刊の書籍の見どころや、軽便鉄道の魅力を掘り下げるシリーズを続ける予定です。

基隆炭鉱鉄道と人車

人車
線路から外して構内においてある平トロ。鹿寮二坑 1966年 撮影=井上一郎

小さな蒸気機関車が活躍していた五堵の基隆煤鉱鉄道は、元々は人車(手押し)軌道として建設されたもののようです。この炭鉱の歴史については 増補改訂版『基隆&瑞三炭鉱鉄道』8-9ページに説明がありますが、1939年に蒸気機関車を導入した後も、この鉄道の線路上を手押しの人車が走ることがあり、それは1966年まで続いていました。
 一般の客は前回説明した友納人車軌道を利用するのですが、炭鉱の偉い人が五堵に出ようとするときなど、石炭を積んだ列車の合間に人車軌道のトロッコを 借りて走らせることがあったのです。その最も面白いシーンは、同書62ページに掲載されています。

 また、荷物を運ぶため上の写真のような平トロが使われることがありました。下は、鹿寮二坑の手前にある大鉄橋を、荷物を積んだ平トロを押して渡っている様子。 この鉄橋を蒸気機関車が牽引する鉱車が渡る写真は、増補改訂版『基隆&瑞三炭鉱鉄道』46-47ページに、鹿寮二坑と鉄橋付近の線路図は48-49ページに、 人車と平トロの図は63ページにありますので 興味をお持ちの方は是非ご覧ください。

高い橋を渡る人車
橋の左手が鹿寮二坑。1966年 撮影=杉行夫
手押しで橋を渡る

繰り返しになりますが、上の写真の鉄橋は前回とりあげた人車軌道のものではありません。 人車軌道は、写真の鉄橋の左下かなり低いところをくぐって鹿寮二坑に達していました。どういう事情が分かりませんが、 この2人の女性が押しているトロッコは、石炭列車の走っていない時間帯に基隆煤鉱の本線上を鹿寮二坑から下っているのです。
 写真に写っている人物の背の高さから推定すると、川面から桁までは12~13m。 コンクリートの橋脚に鋼桁が乗っているしっかりした構造とはいえ、2フィートの狭い線路で手すりもありません。 ここをトロッコを押して渡るのは怖かったでしょう。
 この大鉄橋は1967年の台風による被害で復旧が困難となり、鹿寮二坑は翌年閉山してしまいました。

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